11月1日から、鼻腔噴霧インフルエンザ生ワクチン(フルミスト)の接種を開始します

(2017/8/18 最終更新)

フルミスト(Live Attenuated Influenza Vaccine)LAIVは、鼻の中へ吹き付ける噴霧型のインフルエンザ
ワクチンです。

2003年にアメリカ、2011年にヨーロッパで認可発売されていますが、現在のところ厚生労働省の承認は
ありません。当クリニックでは、米国Medimmune社が製造販売している製剤を輸入して使用します。
輸入ワクチン製剤を利用して副反応が生じた場合は、医薬品副作用被害者救済制度が利用できない
可能性がありますので、ご注意ください。

このワクチンは、低温馴化培養したインフルエンザウイルスを活きたまま利用する生ワクチンです。低温
馴化されたインフルエンザウイルスは、人体内の温度環境では活性が極めて低下します。弱体化したイン
フルエンザウイルスを鼻腔内に噴霧することで疑似感染状態をつくり、比較的低温の上気道(鼻・のど)で
は免疫を誘導し、比較的高温の下気道(気管支・肺)では病原性が弱まるため、重篤な副作用はほとんど
ありません。

注射ではありませんので痛みがありません。インフルエンザウイルスは通常鼻腔から侵入しますが、その
場所に局所免疫(IgA)を誘導するため高い発症予防効果があります。また、活きたウイルスを利用して
細胞性免疫を誘導するため、フルミストでは流行しているインフルエンザと株が違っても発症を軽症化さ
せる効果が期待できます(5歳未満児における発症予防効果は、株一致で89.2%, 株不一致で79.2%)。
さらに、予防効果が長く続きます(フルミストはほぼ1年間有効ですが、不活化ワクチンの有効期間
は4か月程度とされています)。13歳以上では不活化ワクチンの方が効果は高くなってきますが、ワクチン
株と流行株が異なる場合や接種後の長い期間を経過するとフルミストの方が有効性が高くなります。

対象者:
 2歳以上49歳以下の小児および成人が対象となります。当院では、20歳未満の方にのみ接種を行います
 号泣するお子様の場合、多量の鼻汁によって経鼻ワクチンの効果が低下するため、フルミストの接種は
実施できないことがあります。

接種できない方:
● 2歳未満と50歳以上の方
● 5歳未満でくりかえし喘息を起こしている方、小児で喘息の治療中の方、成人でも1年以内に喘鳴発作を
認めた方
● 職業上・生活上で免疫弱者と日常的に接触する方
● 心疾患、肺疾患、喘息、腎疾患、肝疾患、糖尿病、血液疾患、嚥下障害や呼吸障害を伴う神経系疾患、
免疫不全者などで慢性的に支障を認めている方
● 長期アスピリン服用中の未成年者
● 妊娠中の方
● 重度の卵白アレルギーやゼラチンアレルギー、ゲンタマイシン、アルギニンアレルギーの方
● 過去にギラン・バレー症候群を起こした方

接種回数:
 9歳未満でインフルエンザワクチンを接種したことがないか、またはインフルエンザに罹患したことが
ない方は2回、それ以外の方は1回接種します。

 不活化ワクチンとの併用は可能です。不活化ワクチン接種後4週間以上あけてフルミストを接種します。
成人、ことに不活化ワクチンを毎年接種している方は不活化ワクチンの方が有効性が高いため、年長児では
併用によって予防効果が高くなると考えられます。

接種後の注意:
● 接種後の過度な運動は避けてください。スイミングなどは、控えてください。
● 接種した日の入浴は問題ありません。
● ワクチン接種後に軽度の感冒様症状を数日認める場合があります(鼻汁40~50%、咽頭痛5~10%、
頭痛3~9%、発熱10%)。
● まれに、急性副反応が起こることがあります。接種後30分以内に、悪心・嘔吐、めまい、意識障害、
全身皮膚炎などを認める場合は、すぐに医師に連絡してください。

フルミストに関するQ&Aアメリカ疾患予防管理センターによる):
(1)LAIVはどのくらいの効果がありますか?
  アメリカでの試験的投与で、15~85か月の小児において鼻腔噴霧の季節性インフルエンザワクチン
LAIVを接種することによって、接種しなかった人に比べインフルエンザの予防効果が92%有効であっ
た。成人では特別なテストは行っていないが、高熱の呼吸器感染症を19~24%減少させ、欠勤を13~
28%減少させ、受診者を15~41%減少させ、抗生物質の使用を43~47%減少させた。
(2)授乳中の人は接種できますか?
  問題はありません。
(3)病気中の人が接種できますか?
  下痢や発熱のない軽い風邪は問題ありませんが、鼻づまりがあると、鼻腔へのワクチンが十分に作用し
ない場合がありますので、症状が改善してから接種すべきでしょう。
(4)接種したウイルスが他の人に感染することがありますか?
  臨床研究ではごくまれに起こりえます。しかし、フルミスト接種後に濃厚な接触があった場合、他の人
に感染を起こす頻度は低く、0.4~2.4%であり、感染したとしてもウイルスが弱毒化されているため、イン
フルエンザの症状はほとんどないとのことです。
(5)免疫機能不全の人はフルミストを接種できますか?
  重症な免疫不全の人(造血幹細胞移植をうけた人)は接種することはできませんが、軽い免疫機能低下
の人(糖尿病・ステロイド使用中の喘息の人・エイズにかかっている人など)は接種できます。
(6)フルミストの副反応はありますか?
  小児では鼻汁・頭痛・喘鳴・咽頭痛・筋肉痛・発熱が起こることがあります。成人では発熱することは
あまりありません。
(7)フルミストはいつ接種しますか?
  できるだけ早く利用する必要があります。
(8)接種頻度は?
● 毎年接種することが必要です。
● 9才~49才の人は1回接種です。
● 2~8才の人は前年に生でも不活化でもインフルエンザワクチンを受けた人は1回接種です。不活化ワ
クチンは昨年2回接種していることが条件です。
● 2~8才で1度もワクチンを受けたことがない人は、少なくとも28日あけて、2回接種が必要です。
(9)LAIVの保存は?
  2~8℃の冷蔵庫で保管します。
(10)LAIVにはチメロサールが入っていますか?
  チメロサールは入っていません。
(11)フルミストの接種でインフルエンザになることがありますか?
  LAIVは生ワクチンですからウイルスを含んでいますがそのウイルスは弱毒化されていて、インフルエ
ンザを起こすことはありません。このウイルスは低温環境にて増殖する様にできているため、鼻腔内の比
較的低温環境でのみ感染を起こして免疫を獲得するようになっています。多少、感冒様の症状(微熱、鼻
水、鼻づまりなど)が出ることはあります。